Morzart Symphony Orchestra
モーツァルト・シンフォニー・オーケストラ

マエストロ・ペンの  
   ある日のモーツァルト (1)

            1月26日

1790年1月26日、ウィーンのブルク劇場で「コジ・ファン・トゥッテ」が初演されています。この日は34回目のモーツアルトの誕生日の前日、しかも、しかもですよ!!私の誕生日です。へへへ。

このタイトル、訳すと「女はみんなこういう風に行動する」といった感じ。実は「恋愛学校」なんて冴えない副題も付いています。ださい。昭和29年に日本で初演された時は、何でも「浮気だめし」という凄い名前が付けられたそうな。「そなたは、かくも我が熱き心をもてあそびたもうか〜〜!」なんて超レトロな日本語の歌詞が聴こえてきそうです。それにしても、現在呼ばれている題名とこんなにもかけ離れている作品は、他にそう無いだろうなあ。

全てのオペラの中で上演回数一位は断トツ「フィガロの結婚」なんだとか。「ドン・ジョヴァンニ」「コジ」「魔笛」を合わせて四大オペラと呼びますが、私のお気に入りはなんてったって「コジ」と「魔笛」です。お話はとんでもなくいい加減で、変装してお互いの恋人を籠絡できるか賭けるお話です。でも変装ったって、ヒゲを付けて衣装をアラブ風にしただけ。顔はそのままですからねえ。いくら何でも騙されないでしょ。声もそのままだし。R.シュトラウスの「アラベラ」でも真っ暗な寝室で違う相手に間違って抱かれる、というエピソードがありますが、こっちはもっと信じられませんよ。ねえ、女性の皆さん。

でもそれを言ったらオペラは成立しない訳でして、みんなその疑問には気づかないふりをしています。それに、そんな馬鹿馬鹿しい設定がどうでも良くなるほど、音楽が絶品なのですよ。中でも第1幕、恋人達の偽の出征を見送る三重唱は、静けさの美に満ち満ちています。もう二度と訪れないだろう、昔目に焼き付けたナポリ湾の美しい風景が、モーツアルトの目には走馬灯のように映し出されていたんだろうなあ。他に「アヴェ・ヴェルム・コルプス」やクラリネット協奏曲の第2楽章なども、そんな透明で静寂に満ちた美があります。

ああ、モーツアルト好きで良かった、と思う一瞬ですね。


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